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 岐阜県“人間と性”教育研究協議会 (岐阜性教協)
たまゆら2018年3月号巻頭言

「座間事件」に思う

 昨年10月、神奈川県座間市でアパートから女性8人、男性1人とみられる計9人の遺体が見つかった事件は、とても衝撃的で悲しい事件でした。同時に非常に現代を象徴した事件だと感じました。後にSNSで自殺願望のある女性を一緒に死ぬかのように誘い、手にかけたことが分かりました。犯人は「自分は死ぬ気はなかった。」とニュースで言っていました。
 中学校の保健室では、いつもニコニコ明るく見えた生徒が、保健室で「本当の自分はおとなしく根暗な性格。でもクラスで嫌われるのがいやだから、自分を封印して無理に明るくふるまっている。毎日きつい。」と言います。またある生徒は、「兄がネットゲーム依存で高校を辞め、家で暴れる。学校でもそりの合わない友人に無理に合わせている。ひとり親の母親に迷惑をかけたくないのでだまっているが、薬を飲むとすっきりする。日に何回も飲んでしまう。」と相談がありました。またある生徒は、「両親が不仲で毎日喧嘩している。声が聞こえてつらい、大好きな両親が別れるのは本当につらい、死んでしまいたい。」と言います。父親の暴力でリストカットがやめられない生徒もいます。リストカットは伝染するかのように、友人同士でリストカットが分かると、同じように悩みのある生徒が自分だってと言わんばかりに切る様子がうかがえます。傷口を見せ心配してくれるのを待っているようにも感じます。
 2学期は、このような相談に多くの時間を割いて支援に当たりました。しかし、保健室に相談できる生徒は一握りではないかと思うのです。こんな風に相談できればいいのですが、黙って感情を押し殺し、ネットで苦しいと打ち明け、やさしく寄り添ってくれるのを待つ。誰にも迷惑をかけずに、自分だけでなんとかしようとしているのかもしれません。誰にも迷惑をかけないで相談できてしまうネット。リスクはあってもそれに寄り掛かるしかないのでしょうか。
 毎日の生活の中で、誰でも何かしらの問題を抱え生きています。でもだれがどのように苦しんでいるのかは分かりません。でもネットの社会では、同じように問題を抱え苦しんでいるかは検索をかけると出てくるのです。相談にうまく答えてくれる人もいます。そこでうまく解決できる人もいるでしょう。しかし、犯罪に巻き込まれるかもしれないリスクはあります。座間の事件は非常に残酷でいままでない事件ですが、同時にまた起こっておかしくないのではと思ってしまいます。
 私たちにできることは限られているのですが、死んでしまいたいくらいつらいことがあったときに、少しでもSOSのサインをキャッチできて、耳で聴いて、手を当て、言葉をかけながら寄り添ってあげられる養護教諭でありたいと思っています。