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 岐阜県“人間と性”教育研究協議会 (岐阜性教協)
たまゆら2020年12月号巻頭言

子どもへのまなざし

 私は、養護教諭として中学校に勤務しています。最近、ふと昨年を思い出します。
昨年は、保健室の窓からグランドでやっている体育や部活動を眺め「昨日、欠席していた◯◯さんが元気に走っているよ。」「◯◯さんは、あんなに生き生きとサッカーやるんだね。」「◯◯さん独りぼっちじゃないよ、△△さんと仲直りしたんだね。」など、生徒の笑顔や頑張っている姿に、二人で喜んでいたなあ・・・と。

昨年、本校の生徒数が800人を超えたので、養護教諭が複数配置となり、新卒の養護助教諭と私とで保健室を切り盛りしていました。
 彼女と初めて会ったのは、昨年2019年4月1日。年度初めの長い長い職員会が終わって保健室に戻り、お互いが自分の席に座って一息つきながらお茶を飲んでいました。その時に、彼女が突然「私、ポンコツなんです、こんな私と一緒に働くことになってしまってすみません。今までいろんな人に注意されてきました。私ダメダメなので叱ってください。」と、顔と耳を真っ赤にして言いました。あらあら、自分のことを“ポンコツ”だなんて・・・きっと慣れない車の運転と難しい言葉が飛び交う職員会で不安になり、さらに保健室には気難しそうな私がいたので、緊張感が絶頂に達し出てしまった言葉だったのでしょう(実は、本当に私が怖かったのかもしれませんが)。出会った初日に、謝罪されたかと思ったら“叱れ”と言われて目が点になった私は「私もポンコツです。でも、うちの生徒は素敵な子ばかりで、私は大好きです。あなたも、彼らを大好きになってくれたら花丸です。」と的外れな返事をしたことを覚えています。
 私にとって複数配置は初めての経験だったので、年上&経験者の私は“教える立場”になったことにプレッシャーを感じ、緊張の毎日でした。しかし、一緒に仕事をしていていくうちに、経験1年目の彼女と経験20年の私と養護教諭としての“考え方・視点”は、何も違いがないことに気が付きました。
 さらに、彼女は、常に生徒一人一人の向き合い「その子らしさ」を見つけては言葉にして本人に伝え、最後まで穏やかに話を聞き、その子の不安や悩みを担任につなぎました。そして、たくさんの生徒が、彼女の傍で笑顔になっていきました。
 また、ある生徒と関係が崩れそうになったときは、その生徒の心の奥の気持ちに気がつき受け止め、信じて待ち続けました。そして、ゆっくり時間をかけて信頼関係を再び築いていきました。
 そんな彼女の姿から、「子どもへのまなざし」は年齢や経験値は関係なく、人の価値観や感性から成るもので、その人の人間性が豊かであるほど「子どもへのまなざし」はあたたかいものになる。ということを私は学びました。
 保健室という密室で、癖のある私と1年間やり過ごした彼女は、現在、特別支援学校にて大好きな子ども達に囲まれて笑顔で頑張っています。彼女は、すぐに私の事なんて飛び越えていくでしょう。その日を待ち望み遠方から応援しています。私も、経験値に胡坐をかかず、「こどもへのまなざし」にみがきをかけ続ける先輩でありたいです。
 本当に素敵な1年間をありがとう。