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 岐阜県“人間と性”教育研究協議会 (岐阜性教協)
たまゆら2025年10月号巻頭言

リベンジポルノと生成AI

 インターネットの普及やSNSの利用拡大に伴い、リベンジポルノ(復讐ポルノ)が社会問題になり、2014年に「リベンジポルノ防止法」が施行されました。もう10年以上も前の法律なのですが、今でもリベンジポルノに関したニュースを見聞きします。
 そして最近は「生成AI」なるものが、さらにリベンジポルノを加速させる一因になっています。「生成AI」は従来の「AI」の一種類なのですが、その内容は大きく異なります。「AI」は、インターネット上の膨大な学習済のデータから、適切な回答を見つけて回答するものです。ネット上のデータがベースになります。それに対して「生成AI」は、自ら学習し続け、全く新たな情報・データを返します。
 従来のリベンジポルノでは、被害者の性的な画像や動画が対象だったのですが、生成AIでは、簡単に画像を改変できてしまいます。例えば、記念写真などの顔写真があれば、生成AIによってポルノ画像に合成してフェイク画像を作成できてしまいます。フェイク画像は昔からありましたが、技術的にフェイクとわかる画像がほとんどだったのですが、生成AIでは見分けがつかないほど進化しているそうです。
 「リベンジポルノ防止法」についても改定はされていますが、AI生成画像が対象になるかは曖昧な状況です。ちょうどこの巻頭言を書いている最中に日本サッカー協会の幹部がフランスの空港で、機内で児童ポルノ画像を閲覧していたとして逮捕されたというニュースが入ってきました。幹部は「AIによって生成された画像を見ていた」と主張したそうですが、フランスでは児童ポルノ閲覧が禁止されており、たとえAI生成物であっても児童ポルノに該当すると判断されたみたいです。
 ヨーロッパでは、法的整備が進んでいるのですが・・・日本では、まだまだ法的整備が追いついていないですし、人権意識が問われる問題でもあります。
 もちろんAI側でも、性的画像や動画の扱い・作成を制限することも必要ですが、我々もAI利用の利便性だけでなく、危険性や責任について学んでいく必要があります。
 (生成)AIの誤った使用でフェイク画像や動画があふれてしまうと、究極的には・・・いろいろな情報が信用できなくなってしまい、信じられるのは自分だけ・・・という悲しい世の中になってしまいます。そんな世の中は、真っ平ごめん・・・です。