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 岐阜県“人間と性”教育研究協議会 (岐阜性教協)
たまゆら2017年9月号巻頭言

「誰もが自分らしく心地よく生活していくために」

 私は、近視なので、眼鏡やコンタクトレンズを使って視力を整えています。そのおかげで、はっきり物を見ることができるし、車の運転だってできます。もし、私が眼鏡を使用せずそのままの視力で生活をしたら、もちろん車の運転は危険ですし、周りの人の顔でさえはっきり見分けがつかないので、外出するのも嫌になると思います。言い換えれば、眼鏡やコンタクトレンズを使うだけで、心地よく安心して過ごせると言うことなのです。これは、誰にでも当てはまることだと思います。例えば、腰が痛い人はコルセット、耳が不自由な人は補聴器、大腸がんで肛門を切除した人は人工肛門、LGBTの人には多目的トイレ・・・など、その人に必要なものを補えば、心地よく笑顔で生活することができます。
 発達に特徴がある子も同じです。教科書の文字が真っすぐ目で追うことが苦手な子には、教科書に定規を当てる。大きい音が苦手な子には「もうすぐ大きい音が鳴るよ」と言って、そっと耳を手でふさいであげる。そんな小さな支えで、彼らは安心して生活することができるそうです。
しかし、発達に特徴のある子は“自分が何が不快なのか”を表現することが苦手なので、周りの大人から理解されにくく、不快感や困り感をうまく解決できないことが多くあります。そのため、自分を守るために、大声を出して叫んだり、走って逃げたくなったりするそうです。どうしてこの様なことが起きるかというと、私たち大人が、発達に特徴のある子を“わがままで自分勝手”“人の話をしっかり聞かない”“周りに迷惑をかける”と決めつけ、勝手に子どもたちを理解したつもりになり、高圧的に指示を出してしまうからです・・・。大人の気がつかないところで、子どもたちの心は深く傷ついています。
 以前、勤めていた学校で出会った子が、こんなことを言っていました。「周りの人は“彼女はいるのか?”と当たり前の様に聞いてくる。どうして“付き合っている人はいるのか?”と言わないのかな。」と。彼は同性愛者だったので、周りの人たちの何気ない言葉に傷つき、“僕は普通じゃないんだ”と自分を責めていました。あの時、彼がかけてほしかった言葉は「あなたのこと教えて。」だったのです。
 
 誰もが自分らしく心地よく生活していくためには、その人に必要なものを補うことと、周りの人のほんの些細な言葉かけなのかもしれません。相手を思いやり「あなたのことを教えて。」「一緒に考えよう。」というスタンスで、寄り添うことができる人が一人でも増えたら、きっと素敵な笑顔が増えていくと思います。