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 岐阜県“人間と性”教育研究協議会 (岐阜性教協)
たまゆら2019年11月号巻頭言

更にしつこく付け加えるようになった

 機会があって20年程前から、「男らしさや女らしさは決まっていない」等のジェンダーに関する授業をしているが、社会や子どもたちのジェンダー意識は、この間でも少しずつ変わってきた。
 例えば、学校の女性校長や電車の運転士、男性の看護師や保育士等、職業では性別に関わりが少ない。また、多くの女性が就労し、家事育児などを担う男性も増えている。色に関しても赤一色だった女の子のランドセルの色がカラフルになってきた。男の子の方はなかなか黒色から脱却できないでいるが・・。日本では女性議員が少ないが、世界では2019年内に14ヶ国が女性首相という現状だ。
 授業では、様々な画像を子どもたちに見せながら「ね、明治時代の家父長制からできた慣行なだけで、男らしさや女らしさって決まっていないんだよ。自他共に〇らしさを押し付けないで、自分で選択して生きていこう・・。」と、伝えてというか訴えながら「私の若い頃と違っていい時代になってきたな・・」と楽観的に考えているところがあった。
 しかし一昨年、アメリカでセクハラ告発を機に、世界で日本で「#MeToo ,#With You運動」が起きた。その時「女性が大いに活躍しているアメリカで、社会的に活躍しながらもセクハラで苦しんでいる女性が多くいて、今頃やっと告発運動が発生し始めたのか・・」と驚きと戸惑いを感じた。昨年には、1996年まで続いた旧優生保護法のために生殖機能を知らないうちに除去されていた方々が国へ謝罪や補償を求めた裁判があり、やっと国が動き始めた。女性だからという理由に医学部不合格で提訴!父親からの長年にわたる娘への性虐待に対して、なんと無罪判決! #KuToo運動も発生!
 次から次へと女性の人権が軽んじられる出来事に「えー、今頃?まだ、こんなにたくさん理不尽なことが続いている・・やっと表面化されてきただけなのか・・」「自分はおめでたい・・」と心の底で何かしぼんでいった。
 現在、日本でも法律上、1985年に批准した女性差別撤廃条約(女性労働者の権利保護や平等の実現等)のもと、労働基準法(賃金における性差別を禁止等)や、男女雇用機会均等法(募集・採用・配置・昇進・降格についての性別を理由とする差別禁止等)が、定められているが・・。実態は、賃金の平均では男性100に対して女性73 (2019年賃金構造基本調査)という。
出産休業明後、出産前と同様の仕事を望む人でも非正規を強いられる可能性が多い。非正規の賃金は正規より安い。女性にしかない出産の可能性を理由に、非正規を強いるのは理不尽で仕方がない。その他、子育て・介護のために女性が非正規を選択するケースが多い。離婚後非正規の為に貧困に繋がる女性も実にたくさんいる・・。  
 先日、ある会議で「保育士の給料が安いからいけないなあ。男性保育士が増えているんだから。もっと高くしないと。」と話す人がいた。私は、つい「えー、それじゃあ女性は安いままでもいいの?」と思わず小声で叫んでしまった。日頃から人権意識が高い人の言葉だったので、なんだかショックだった。ジェンダー意識を拭い去ることは簡単ではないんだ。性差問題を乗り越えないと男女共に生きにくいのに・・あーあ・・。
 11月11日の夜7時に、岐阜駅北前噴水広場辺りで行われたフラワーデモ(@flowerdemogifu)に参加した。フラワーデモとは、性暴力・性暴力無罪判決に抗議するデモで、以前新聞で知り参加したいと思っていた。10~15名ほどが暗い中で集まった。廣瀬政美さんという若い女性が、携帯マイクで落ち着いた優しい声で話された。いろいろな経過があって岐阜で7/11から始められた。当日には全国27ケ所でこのデモが行われ、スペインのバルセロナでも行われるそうだ。この会の中で、支援者の一人が「今年の6月に国際労働機関(ILO)で、パワハラ・セクハラの禁止条約が成立したが、日本はこの条約に賛成したものの、それらの行為の防止策を義務付けるだけで、規制する法律に禁止や罰則が盛り込まれていないので、この条約に参加できなかった。」との話を紹介された。
 同性婚法が未成立な我が国で、先に記した様々な問題は、法律や規則を作る議員が、旧態依然としたジェンダー意識を持ち、性別役割分業の意識の根強い男性が多いことが原因の一つであり、全部繋がっている。
 「お先、真っ暗」であるが、最近やっと問題が表面化してきた。性教協は勿論、他にも本当に数多くの団体の方々が、誰にとっても優しい社会になるためにずっと以前から必死で活動してきている。廣瀬さんも静かに立ち上がってきた。私もジェンダーの授業では、子どもたちに「数年後には選挙権を持つ。どんな社会にしたいのかよく考えよう。」と更にしつこく付け加えるようになった・・。