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 岐阜県“人間と性”教育研究協議会 (岐阜性教協)
たまゆら2020年9月号巻頭言

触れ合いが大事なのに、コミュニケーションが大事なのに・・・。

 コロナ渦、会員の皆様におかれましては仕事や家庭等、様々な影響を受けてみえる方もおみえになると思います。皆様どうかご自愛ください。
 さて、現在私の通う中学校(愛知県)でも、3月2日から突然の休校となり、本当に何の前触れもなかったので、かなり混乱しました。コロナ感染は拡大し、幼稚園、保育園、小・中学生のお子さんがみえる職員は在宅勤務となり、職員が集まるのもままならない状態となりました。その頃の学校は、卒業式や入学式をどうするのか、どうやって行うのか等、大きな行事の実施に向けて、在校生は?保護者は?など、大まかなところは市内で統一し、感染予防をどうするかは学校に任されていたので、養護教諭の私の仕事としては、アルコール消毒液やマスクの確保等が主な仕事でした。休業が長引くと、オンラインで授業を配信するため、職員が教室や体育館でオンライン用授業の撮影を始めました。意外と大変だったのは著作権の問題で、体育のダンスの授業で使用する音楽の使用許可をもらうためにNHKやプロダクションに連絡する姿がありました。この期間、とにかく生徒の影も保護者の影もなく、「何もない不安」がありました。ステイホームで何をしていて、どんなことに困っているのか全く分からないのです。定期的な電話連絡はありましたが、担任が一言二言話して終りなので、安否確認と健康観察くらいです。子どもの声が全くなくなった本来の姿ではない学校がありました。緊急事態宣言が解除されると、学校再開に向けて、感染予防の消毒を一日1回しなくてはならず、アルコール消毒液が手に入らない状況は続いていたので、次亜塩素酸ナトリウムの確保と使用するためのバケツや手袋、消毒方法の確認等、いつもの仕事にプラス、手のかかる毎日の消毒が本当にできるのか不安でした。でも職員一人一人の危機意識も高く、「いつまで続くんだろうね・・・。」と愚痴をこぼしながらも、皆さんしっかりやってくれました。毎朝の検温確認と検温忘れの対応が意外と時間と人の手が必要で、職員が毎朝昇降口でチェックして教室に入れるのですが、900人以上在籍の本校は本当に大変でした。(現在は教室チェックとなりました。)
 学校の分散登校が始まりました。この分散登校はクラスの半分ずつ登校する日と、学年の半分のクラスが登校する日がありました。そして午前中で下校でした。この気楽さが不登校だった生徒が登校しやすかったのか、完全不登校の生徒が何人か登校することができたのです。フル登校になってからは、毎日は難しいのですが、週に1回程度登校している生徒もいて、長い休業と負担が少ない分散登校は、彼らにとっては調度よい機会となったようでした。フル登校が始まり、給食が始まると、とにかく廊下で密、教室で密、下校時に密、部活で密と、生徒は気にせず密接するが日常で、少しでも気を付けて生活してもらうために、声をかけ続けるしかありません。なかなか大変です・・・。と、そんな学校生活の中、「触れ合いが大事なのにな・・・。コミュニケーションが大事なのにな・・・。」と思う毎日です。コロナウイルス感染症は人との関わりを必要最低限にしなければならず、この弊害がいつか出るのでは不安に思います。
 学校ではすぐに教育相談が行われ、その中に虐待を疑われる訴えもありました。「母に殴られる、怖い。」休業中に母から暴力を受けていました。幸い母親への対応がうまくいって暴力は今のところなくなっています。でも「殴りたいのを我慢している」と言います。学校では休業中の家庭の様子は掴みきれていません。しかし、市の子育て支援センターへは警察から児童相談所に例年にない数の「夫婦の面前DV」事案が寄せられていました。保健室に何度か来室していた男子生徒は父親のモラハラが原因で母親が小さい兄弟と一緒に家を出ていき、父親と二人暮らしをしていました。手に包帯を巻いた女子生徒は、母親との衝突が増え、壁に当たって骨折していました。コロナだけのせいではないのですが、ステイホーム、テレワークで家庭環境が変わって、悪い方向に向かってしまった家庭も多いのかもしれません。新しい生活様式は始まったばかり、私たち大人もこの環境に慣れるのに時間がかかります。でも子どもたちへの影響を一番に考えて前に進む必要があると思いました。